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グループ企業間の法律事務の取り扱いと弁護士法72条について

‪@jun_k00 さんからバトンを受け取りました。マイニチぱみゅぱみゅです。

 

今回初めて、法務系 Advent Calendar 2016 - Adventarに参加させていただきました。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

私自身のテーマは、グループ企業間の法律事務の取り扱いと弁護士法72条についてです。

 

近年、会社が事業統合するに当たり、純粋持株会社を設立し、本社機能はすべて子会社に移管するようなケースや、グローバル案件やM&A案件等を取り扱う法務機能は親会社に残しつつ、その他の法務機能を移管しようとするケースがあります。

 

親会社から子会社への法律事務の取り扱いについては、平成28年6月に法務省が公表した親子会社間の法律事務の取扱いについて(弁護士法第72条関係) にて一定程度許容される可能性が広がりましたが、法務機能を移管した子会社から親会社に対して有償で法務サービスを提供する場合や、親会社を同じくする他の子会社に対して法務サービスを提供する場合については、指針が示されておらず、弁護士法72条との関係でどの程度許容されうるのかわかりません。

 

そこで、指針が示されていない子会社による親会社または親会社を同じする子会社に対する法務サービスの提供がどの程度許容されるのか、「親子会社間の法律事務の取扱いについて(弁護士法第72条関係) 」を参考に考えてみた次第です。(なお、本記事にて示された見解は私個人の見解であって、官公庁および裁判所による見解ではありません。)

 

子会社から親会社・親会社を同じする子会社に対して契約審査業務を、法務サービスとして提供する場合を例に考えてみたいと思います。

親子会社間の法律事務の取扱いについて(弁護士法第72条関係) 」に記載されている例では、「子会社の通常の業務に伴う契約について,法的問題点を調査検討の上,契約書や約款のひな形を提供し,子会社が作成したものをチェックし,契約条項や約款の一般的な解釈等,一般的な法的意見を述べること」とあります。

これを要素分解してみると次の①~③に大まかに分けられると思います。

①通常の業務に伴う契約であること⇒事件性がなく、かつ、定型的なその会社のサービスや取引に関する契約の範囲に限る

②子会社が作成したものをチェック⇒あくまでも契約主体となる当事者性が求められている

③契約条項や約款の一般的な解釈等,一般的な法的意見を述べる⇒損害賠償の範囲が一切となっていた場合、賠償額が高額になるおそれがあるといった契約に関する一般的な知識で対応できるもの等

 

上記の①から③で抜き出した要素が、子会社から親会社、子会社から親会社を同じする子会社に対して法務サービスとして提供する契約審査業務として提供した場合でも踏まえられていれば、実質的には自社内の契約審査と変わらず、自社内の契約審査フローを法務機能を移管した子会社に切り出して行わせてるに過ぎないと思われます。

 

他方、親会社や他の子会社の事業部門(契約主体)の代理人として、顧客と契約交渉を行うというような法務サービスは、弁護士法72条に違反するように思われます。自社内の契約審査フローのように閉じた範囲での法律事務ではなく、契約主体である親会社や他の子会社と相手方たる顧客との間に入っていくものなので、弁護士法の72条の趣旨(最大判46年7月14日刑集25巻5号690頁)及ぶ可能性が高いからです。

 

この問題についてはもう少し自分の中で掘り下げていきたいなと思い、また他社事例等を研究したいと思います。

 

次は、kanegoontaさんです!

よろしくお願いします!